可愛いあの人は高校生
理事長はしばらく黙りこんでいたが少しすると小さな声で呟いた。
「まあ、このことがバレたらわしが何と言おうと教育委員会が納得しないだろうから、とりあえず君は退職だ。もうこの学校と何の関係もない。この生徒にどんな処分を下そうと君には口を挟む権利もないのだぞ。」

あたしは何も言い返すことができなかった。


理事長はそう言い捨てると部屋から出て行った。


どうしよう・・・・。あたしのせいで望くんまで・・・・。


そんなことを考えていると望くんが静かに口を開いた。
「何でそーやって俺のことかばおうとするわけ?熱血教師ぶるのもやめろよ!」

そう言う望くんの表情はとても苦しそうに見えた。

「・・・ごめんね。」
謝っても意味などないと思った。
でも謝らないと苦しすぎて自分が逃げるために謝った。

許してほしいんじゃない。そうやって自分の罪から逃げてるだけなんだ。



「許してなんて言えないけど・・・ごめん。」
望くんはもうあたしと目を合わせようとはしなかった。

「早く出てけば?もうあんた教師じゃねーんだろ。」
「・・・でも・・・望くんに罪を押し付けてまで逃げるなんて・・・!!」

「うるせえな!!!」
突然望くんが大きな声上げた。


「・・・最後くらいカッコつけさせろよな。」


そう言う望くんの目はもうあたしを見ることはない。

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