可愛いあの人は高校生
加藤くんは優しく微笑むとゆっくりあたしに顔を近づけた。
「ずっと・・・お前とこうしていたかった。」

そう言うと加藤くんはあたしの唇を奪った。

すっと目を開けると加藤くんの顔が夕焼けのせいか紅潮しているように見えた。
こうして唇を重ねているだけで幸せだと思った。
幸せの意味なんて知らないけど、こうして大切な人がそばにいることを幸せと呼ぶならあたしは今幸せだと思った。


舌を絡めなくても、体を繋がなくてもこんなに人を愛しいと思えるってことを初めて知った。


しばらくして唇を離すと加藤くんはぼそっと呟いた。
「あの時も・・・今みたいに堂々としてたらよかったのかもな・・・。」


あたしには加藤くんの言う意味は理解できないけど、同じように切なく、胸の締め付けられるような思いがした。



しばらく2人で夕日を眺めていると、誰かが教室に入って来た。
「誰だ!?」
その人はあたし達を見るなり叫んだ。

「おお!!加藤と枡野先生じゃないか!!」
その人はどうやら先生のようだった。


誰だろう・・・・?


加藤くんはその人を見ると驚いたような表情で笑っていた。



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