可愛いあの人は高校生
あたしが不思議そうな顔をしているのに気付いたのか加藤くんはあたしに紹介してくれた。

「ほら。さっき言ってた平山って先公。」
「あー!あたしを襲おうとしたっていうへんた・・・!!」
そこまで言いかけると加藤くんは慌ててあたしの口をおさえた。

「あの時はすいませんでした。」
恥ずかしそうに笑うその人はあたしの記憶の中にはいなかった。

「えっと・・・。」
あたしが戸惑っていると加藤くんはその人に向かって言った。
「こいつ・・・学校のときのことなんも覚えてねーんだよ。」
「そうなのか!?」
その平山先生という人はとても驚いたようにあたしを見た。

その後は加藤くんと平山先生は思い出話に花を咲かせていた。


「お前だいぶ落ち着いたなー。」
平山先生がそう言うと加藤くんも楽しそうに笑った。
「お前こそだろ。だいぶ老けたよな。」
「お前こそ大人っぽくなりやがって。」

その2人の会話は教師と生徒というより、親子というような感じだった。


「2人は仲良かったの?」
あたしがそう聞くと2人は声をそろえて答えた。

「全然!!!」

そう言うと2人共目を合わせて笑った。あたしも笑った。


この時間が楽しくて思い出せなくても・・・いいと思った。
このままでいられるなら・・・・。




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