可愛いあの人は高校生
「でもやっぱお前達デキてたんだなー。」
そう言うと平山先生はあたしと加藤くんの顔を見比べて笑った。
「ちっ、うるせえよ。」

加藤くんは少し顔を赤らめて笑った。

「まあ、なるべく早く出たほうがいいぞ。教頭に見つかると面倒だからな。」
そう言うと平山先生は行ってしまった。


「あの人・・・全然変態には見えなかったよ。」
あたしはそう言うと加藤くんに向けて微笑んだ。」

「ああ。俺もびっくりした。ぜってーいっつもみたいに怒鳴られると思ってたし。」

そう言うとふふっと2人で笑った。




「やっぱり・・・時間が経ったら人の気持ちなんて変わっちまうんだよな。」



加藤くんがふと漏らしたその言葉は・・・今のあたし達にはとても重い言葉のように感じられた。


それからあたし達はまた元来た道を戻っていった。
その間はあたし達は一言も言葉を交わさなかった。



そして玄関まで着くと、おもむろにあたしは口を開いた。

「ごめん・・・これだけ回ったのに全然思い出せなくて・・・。」
あたしがそううつむくと加藤くんはあたしのあごにスッと手をやると顔を上に向けた。


澄んだ瞳と視線が重なった。


ドキドキ・・・心臓はうるさいほどに音をたてている。

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