可愛いあの人は高校生
幸せの意味
しばらく2人でゆっくりとしていると突然思い出したように加藤くんが立ち上がった。

「確かこっちだったはず・・・。」

加藤くんはそう呟くとカーテンを開いた。
そこにはもう1つベッドがあった。

「このベッドでいっつもヤってた。」
そう言うと加藤くんはまた楽しそうに笑った。



その瞬間、あたしの中で何かが起こった。


ドクン、ドクン・・・・・・。
今まであいていた穴が埋まっていくように・・・・足りなかったものを取り戻すように・・・あたしの中を記憶が駆け巡った。



加藤くんと出会ったこと。
加藤くんに告白したこと。
キスしたこと。
抱き合ったこと。
愛し合ったこと。
ケンカしたこと。
妊娠したこと。
幸せだったこと。
流産したこと。
そして・・・加藤くんが姿を消してしまったこと。


全て・・・全て・・・重く苦しい記憶があたしの中に戻ってきた。



「・・・・あ・・・・・あ・・・。」
あたしは自分でも無意識のうちに言葉を発していた。


そして目からは一筋の涙が零れ落ちた。


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