可愛いあの人は高校生
加藤くんは思い出すのも嫌なように、強く自分の右手を握りしめた。


「それで奈々が学校辞めること知って会いに行った。もうそのまま奈々に全て話してあいつから逃げようと思った。でもダメだった。もうあいつの腹には俺の子供ができてた。」



・・・嘘・・でしょ・・・！？
もしかして・・・その子供がいるから・・・あたしとはもう付き合えないとか・・・・


「ねえ・・・嘘でしょ？」
「嘘じゃない。」
「お願い・・・嘘って言って・・・！！」

あたしは泣きながら加藤くんにすがりついた。


「嘘じゃねえっつってんだろ！！」
そう怒鳴る加藤くんの瞳にも涙が浮かんでいた。

きっとあたしよりも加藤くんのほうが自分を責めて・・・辛い思いをしてきたのだろう。


「・・・・ごめんなさい。」
「いや、俺が悪い。ごめん・・・。」


あたし達はどちらとも言わず強く手を握り合った。



この辛さも、苦しみも、寂しさも２人で越えようと思った。
もう何を聞いても逃げ出さないようにずっとあたしを繋いでおいてください・・・。


あたしをずっと捕まえていてください・・・・。


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表紙・目次

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