新選組異聞 幕末桜伝
さくらが、副長である土方の制止も聞かず身勝手な行動をするのは、さくらがどこの隊にも属さず、総長という地位を与えられているから。


新選組は、組の頂点である局長の近藤勇、そして局長の補佐役である、副長の土方歳三と山南敬介が続き、その下には副長助勤と呼ばれる隊長が一番隊から十番隊までおり、沖田総司はその中の最も危険な任務につくと言われる一番隊隊長を務めていた。

その他にも、隊長の下につく平隊士、主に密偵として暗躍する監察方と、組の金銭の出納を担当する勘定方がいるが、さくらはその中のどこにも属していない。


連れてきた当初は、刀を握らせるつもりなど毛頭なく、役割を決めぬまま、新選組という組織の中で、さくらを持て余していた。それがいけなかったのか、役職を持たぬさくらは、任務を与えられる事もないため、一人で見回りに出向き、そして不逞の輩を己の独断で、次々と始末していった。
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