新選組異聞 幕末桜伝
「死神と呼ばれる者についてですが、私もいろいろと調べてみたんですよ。それで、その人物を見たと言う方から話を聞きましてね…。」
山南はそう言うと、少し間を置く。土方はどんな奴なんだと興味津々に山南の次の言葉を待った。
「それが、顔は見えなかったらしんですが、どちらかというと小柄で、金色の髪をしていたらしいんですよ。」
近藤と土方は、思いがけない情報にお互い目を見合わせた。
「まさか、な…。」
まるで独り言のように土方が言う。
金色の髪で、思い浮かぶ人物は一人しかいない。
椿さくらだ。
彼女の髪は、黒髪の両親から生まれてきたにも関わらず、突然変異か何か、原因は解らないが、金色に輝いていた。この狭い島国で、さくら以外にそのような色をした頭を見た事がない。言いようの知れぬ不安が、その空間を包んでいた。
「確かめるしか、ねェか…。
あいつが何の関係もないなら、それでよし。疑ったまんまじゃ気分悪ィ。」
土方がそう言うと、近藤も山南もそれしかないなと渋々同意した。
さくらの腕が立つというのは沖田との稽古を見て知ってはいたが、夜な夜な屯所を抜け出して浪人を切り捨てる無情な行為をまだ幼い少女がしているなどと、その場にいる誰もが信じたくなかった。
山南はそう言うと、少し間を置く。土方はどんな奴なんだと興味津々に山南の次の言葉を待った。
「それが、顔は見えなかったらしんですが、どちらかというと小柄で、金色の髪をしていたらしいんですよ。」
近藤と土方は、思いがけない情報にお互い目を見合わせた。
「まさか、な…。」
まるで独り言のように土方が言う。
金色の髪で、思い浮かぶ人物は一人しかいない。
椿さくらだ。
彼女の髪は、黒髪の両親から生まれてきたにも関わらず、突然変異か何か、原因は解らないが、金色に輝いていた。この狭い島国で、さくら以外にそのような色をした頭を見た事がない。言いようの知れぬ不安が、その空間を包んでいた。
「確かめるしか、ねェか…。
あいつが何の関係もないなら、それでよし。疑ったまんまじゃ気分悪ィ。」
土方がそう言うと、近藤も山南もそれしかないなと渋々同意した。
さくらの腕が立つというのは沖田との稽古を見て知ってはいたが、夜な夜な屯所を抜け出して浪人を切り捨てる無情な行為をまだ幼い少女がしているなどと、その場にいる誰もが信じたくなかった。