新選組異聞 幕末桜伝
そしてその夜、近藤・山南・土方に沖田を加えた面々が、さくらの寝所がある場所のすぐ近くに待機していた。
さくらは浪士組にいる唯一の女性である為、雑魚寝同然の隊士達とは別に、専用の小さな部屋が宛がわれており、皆が寝静まった深夜に抜け出すなど、造作もない事。
だが、四人ともが半信半疑ではあった。
出来れば勘違いであってくれよと思う一同の願いも虚しく、部屋の襖が、静かに開く。きょろきょろと辺りを見回した後、さくらは慣れた様子で、裏手の方から出て行った。腰には刀が差してある。
足音を立てぬよう、四人も後に続いた。
屯所を抜け、入り組んだ小路をただひたすらに歩く。目的が有るのか無いのか、見当もつかない。
そして、さくらの動きが突然ぴたりと止まる。視線が右方向へ向いているのが確認できるが、近付く事ができない。
土方は沖田を連れ、さくらの視線が向いている方向へと回り込んだ。
前を歩いていた沖田が、
「土方さん、あれ…。」
と、小声で呼びかける。
さくらは浪士組にいる唯一の女性である為、雑魚寝同然の隊士達とは別に、専用の小さな部屋が宛がわれており、皆が寝静まった深夜に抜け出すなど、造作もない事。
だが、四人ともが半信半疑ではあった。
出来れば勘違いであってくれよと思う一同の願いも虚しく、部屋の襖が、静かに開く。きょろきょろと辺りを見回した後、さくらは慣れた様子で、裏手の方から出て行った。腰には刀が差してある。
足音を立てぬよう、四人も後に続いた。
屯所を抜け、入り組んだ小路をただひたすらに歩く。目的が有るのか無いのか、見当もつかない。
そして、さくらの動きが突然ぴたりと止まる。視線が右方向へ向いているのが確認できるが、近付く事ができない。
土方は沖田を連れ、さくらの視線が向いている方向へと回り込んだ。
前を歩いていた沖田が、
「土方さん、あれ…。」
と、小声で呼びかける。