新選組異聞 幕末桜伝
第三話 芹沢鴨
「言っとくけど、俺がばらした訳じゃねぇからな。」
屯所を歩いていたさくらを見つけると、芹沢はそう声をかけた。
「…別に、あなたを疑ってなどいません。それに、ばらしてもらっても良かったんですよ。そうすれば、もっと早く役職と戦う理由を与えられていたかもしれませんから。」
数々の暴挙を働く芹沢に、物怖じする事無く言い返す。
「貴様っ、芹沢局長に何て口の聞き方を…!」
そんなさくらの態度に激昂した芹沢派である新見錦(ニイミ ニシキ)が刀に手をかける。新見は一応肩書きの上では、近藤や芹沢と同じ壬生浪士組の局長であるのだが、芹沢のただの腰巾着のような男。芹沢の手前、さくらに食って掛かってはいるが、本当に刀を抜くつもりなど毛頭ない。
「まぁ、新見落ち着け。」
芹沢が新見を止めるように肩を叩いた。
「最初はふてぶてしいだけの可愛げのねぇ餓鬼だと思ってたが、けっこう度胸あんじゃねぇか。俺は好きだぜ。はっきりした物言いの奴は。
お前さんは近藤派だろうが、何かありゃ、俺んとこに来い。悪いようにはしねぇよ。」
芹沢はそう言うと、後ろ手に手を振りながら去って行った。新見は、まだ先ほどのさくらの態度が気に入らないようで、おもしろくないといった表情で睨んでいる。面倒くさい事になったと、さくらはため息をついた。
屯所を歩いていたさくらを見つけると、芹沢はそう声をかけた。
「…別に、あなたを疑ってなどいません。それに、ばらしてもらっても良かったんですよ。そうすれば、もっと早く役職と戦う理由を与えられていたかもしれませんから。」
数々の暴挙を働く芹沢に、物怖じする事無く言い返す。
「貴様っ、芹沢局長に何て口の聞き方を…!」
そんなさくらの態度に激昂した芹沢派である新見錦(ニイミ ニシキ)が刀に手をかける。新見は一応肩書きの上では、近藤や芹沢と同じ壬生浪士組の局長であるのだが、芹沢のただの腰巾着のような男。芹沢の手前、さくらに食って掛かってはいるが、本当に刀を抜くつもりなど毛頭ない。
「まぁ、新見落ち着け。」
芹沢が新見を止めるように肩を叩いた。
「最初はふてぶてしいだけの可愛げのねぇ餓鬼だと思ってたが、けっこう度胸あんじゃねぇか。俺は好きだぜ。はっきりした物言いの奴は。
お前さんは近藤派だろうが、何かありゃ、俺んとこに来い。悪いようにはしねぇよ。」
芹沢はそう言うと、後ろ手に手を振りながら去って行った。新見は、まだ先ほどのさくらの態度が気に入らないようで、おもしろくないといった表情で睨んでいる。面倒くさい事になったと、さくらはため息をついた。