新選組異聞 幕末桜伝
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「芹沢さん、何してるんですか…。」

沖田と別れ、自室に戻るとなぜか芹沢が先に寛いでいた。珍しく、酒は入っていないようだ。


「よぉ、遅かったじゃねぇか。待ちくたびれたぜ。」

芹沢がにやりと意地悪そうに笑う。どうせろくな用件ではないのだろうと、さくらはため息をついた。そんなさくらに構わず、芹沢は話し始める。


「初めて見た時から思ってたけどよ、お前、人を斬りたくてたまんねぇって顔してるよな。十代の餓鬼がするような目じゃねぇ。どういう人生送ってきたら、そんな目になるのか、興味がある。」

芹沢は、真っ直ぐさくらを見ていた。理由なんて、話す義理はない。普段であれば適当にあしらう所だが、それではこの男からは逃れられないなとさくらは思った。
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