新選組異聞 幕末桜伝
「大丈夫?」

「えぇ、大丈夫です。迷惑かけてすみません、山南さん。」

さくらはぺこりと頭を下げた。新選組のもう一人の副長である 山南敬介(ヤマナミ ケイスケ)は、隣に座り、ぽんぽんと頭を撫でる。その様子を見て安心した沖田は、襖を閉め、彼女の部屋を後にした。


「土方くんは乱暴だけど、君の事を想って言ってるんだ。それは、解ってるよね?」


「…私、あの人嫌いです。」

山南が諭すように言うと、さくらは力なくそう言った。


「どうして?自分にだけ厳しいから?」

「あの人、私に似てるから…、だから嫌いです。」

彼女らしい理由だと思い、山南は微笑む。お互いに不器用で、そして単純なのだ。本当は誰よりも解り合えるはずなのに、その不器用さ故に反発してしまう。山南からすれば、二人ともただの子供のように見えた。

さくらはともかくとして、土方に言えば機嫌を損ねるだろうから、絶対に言わないが。

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