謝罪のプライド
それから車で二十分位の私のアパートでおろしてもらう。
「浩生は、……来てないかぁ」
見上げた窓は暗いままだ。ちょっと期待していたのにと寂しくなりながら階段をのぼる。
結構飲んだけど、足取りもしっかりしている。我ながら可愛げのない女だ。
美乃里なら、可愛く酔っ払ったりするんだろうか。
送っていったりしてないよね。
いつもみたいに私のところにくるよね?
半ば祈りながら部屋に入り、出て行った時と変わらない部屋を明かりで照らす。
携帯を見てもメールもない。
ねぇ浩生。
早く私の傍に来て。
衝動的に動いてしまったのは、平気と言いつつやはり酔っていたのかもしれない。
いつもなら飲み会の日に電話をかけたりしない。
なのに、私はリダイヤルから浩生の番号を選んだ。
もどかしいほどの呼び出し音。
数秒しかたっていないだろうに、とてつもなく長く感じる。
ようやく呼び出し音が途切れた。
「あ、もしもし?」
『どうした?』
落ち着いた声に、一気に血が下る。
ちょっと、何やってるの私。