謝罪のプライド
しかし浩生はこの時、クスリと笑うとまだ梱包も開いてないマシンを顎で指した。
「先ず梱包を外せ。一台目は俺のを見ながら同様にやるんだ。……それから、この部署の仕事をするときにスカートを履くのは止めろ。しゃがんだり屈んだりが普通にある仕事だ。スカートを履いている時点で俺はやる気が無いもんだと思っていた」
「す、すみません」
カッと顔が赤くなる。
服装でやる気を測られていたとは思わなかった。
そんな前提で見られていたとも知らずに、いきがって自分にはできるようなことを言ってしまったことも恥ずかしかった。
「いや。謝る必要はない。時間が勿体ない。やるぞ」
「はい!」
梱包を解く作業中から、確かにスカートがめくれ上がる。
でもこれを気にしていたら、九坂さんに馬鹿にされる。
そう思って、とにかく中断せずにやった。
一台目を彼と同じようにすることでセットアップし、二台目からは一人でやっていく。
コンピュータには意外と当たり外れがある。極稀にだけれど、動作不良なものにあたったりして助けを乞うと、彼は飄々とした様子でやってきて、直してくれた。それはOSのレジストリ書き換えであったり、機械内部のケーブルの交換だったり。
少しも迷わない彼の知識の深さは、傍目で見ているだけでもよくわかった。