謝罪のプライド
「彼女が可愛いから? そうだよね、私と違って女の子らしいし、甘え上手だし。……ああいう子が良かったの? 浩生は」
心にもない言葉たちが、次から次へと溢れてくる。
「彼女とだったら結婚したい? 私じゃ、可愛げがなくてダメなの?」
日頃抱えている不満まで出てくる。止まらない、止められない。
浩生は黙ったまま私を睨みつけている。
「なんでよ。……どうして私こんなに浩生に振り回されなきゃならないの!」
勢い良く吐き出したら、呼吸まで浅くなっていたようだ。
黙ってからも、肩で息をするほど。
周りの人も他人の修羅場は気になるのか、ジロジロと私達を見ている。
浩生はため息をついて店の扉から離れると、私の腕を掴んで路地裏に連れ込んだ。
「……お前、何言ってんだ?」
普段聞かないような低い声。
興奮していた体が、氷水につけられたかのように一気に冷える。
「……ホテルに行ったのは本当なのね?」
「事情があった。でもそれを言ったところで今のお前が信用するのか?」
「だって」
「信用してない奴に何言ったって無駄だ」