謝罪のプライド



 十分くらいそこに居ただろうか。
ようやく嗚咽も収まってきて、なんとか電車に乗れるくらいにはなった。

顔はきっとひどいだろうけどそれは短時間じゃ戻らないからどうしようもない。

ちゃんと自分だけで立ち直れたじゃん。

相変わらず可愛げのない自分には嫌気がさすけど、かと言って人に頼るのも苦手だ。
これが自分らしいと思う。


「よいしょっと」


私が立ち上がったのと同じタイミングで裏口のドアが勢い良く開いた。


「え?」

「あ……」


出てきたのは数家くんだ。なんというタイミング。


「新沼さん? え? なに? どうした?」


はてなマークがいっぱいの数家くん、顔もいつもの落ち着きがなくてなんだかおかしい。


「ごめん、ちょっと休憩させてもらってた。もう帰るとこ」

「帰るって……ちょっと待ってよ」


数家くんはゴミをだしにきたらしく、両手に持っていた袋を保管庫の中に入れると、手をパンパンとはたいた。


「なんかあったんでしょ。すごい顔してるけど」

「や、でも。そろそろスッキリしてきたところだから大丈夫」

「大丈夫って言われても信用出来ないなぁ」

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