謝罪のプライド
『なぁ、やべーよ。社長カンカンになっててさ。俺朝一で来たんだけどすげぇ肩身狭いっていうか』
「はあ」
それは仕方ないじゃん担当営業なんだし。
「復旧はしたんですよね?」
『一応再起動はした。今見れてるでしょ? でもトラブルの原因突き止めなきゃいけないから残ってるトコ。俺的にはやっぱりマシンスペックがダメだったのかなって思って』
「はぁ?」
『新沼ちゃんが勧めたんじゃん? 責任取って一緒に謝ってよ。一度来てくれないかな』
ちょっと待ってよ。
私が勧めたって言ったって、最終的に決めたのは営業のアナタじゃないですか。
それに、ここで私が謝ったところでどうなるの。
謝るのは会社を代表して一人いるならそれでいいじゃん。
それより重要なのは、お客様に迷惑かけている現象を何とかすることじゃないの。
「ホントにマシンスペックが原因かどうか分からないでしょう? 今は謝るより原因究明のほうが重要です。私が行くより、トラブルの原因を探れる人に行ってもらったほうがいいです」
加えて、即興でも対応できる人だとなおいい。
『でもさー』
「技術部に誰か派遣してもらいます。田中さんはお客様の使用状況とか。落ちた時のログとかをまとめておいてください。判断材料にできると思います」
『お、おい。新沼ちゃん?』