謝罪のプライド
「ごめん、道案内頼めるかな」
「はい」
説明しながら、ポツリポツリと世間話もする。
「男の人ってどんな時に結婚したいって思うんですか? 子供欲しい時?」
一応リサーチもしておいてやろう。亜結、感謝するのよ?
「どうなんだろうね。俺の場合は一目惚れだったから。とにかく早く捕まえないと逃げられちゃうって思ってて」
「そんなに焦らなくても、亜結ってずっとフリーだったのに」
「俺は、いつもいい人で終わるタイプだからさ。誰かと付き合っても、一年位で相手の方から振られちゃう。刺激がないってよく言われたよ」
「へえ」
でもそれは、合わない相手と付き合っていただけのような気もするけど。
「亜結のことは絶対に手放したくなかったから珍しく頑張ったんだよ。そしたら勢いつきすぎて一気に結婚まで持って行ってしまった」
はははと笑う彼の声に頬を緩めると、膝に乗っている頭がわずかに動く。
もしかして亜結、起きているわね?
「清水さんは子供欲しいですか?」
「え? そうだなぁ。そりゃいつかは欲しいよ?」
「何人?」
「そうだなぁ。俺、三兄弟の次男なんだ。人数多いと楽しいし、最低三人……って昔は思っていたんだけど」
「うん」