謝罪のプライド
新居になるマンションで下ろしてもらう。
「ありがとうございました」
「いつか夫婦同士で遊びに行こうよ。初音ちゃんの旦那さんとも話してみたいな」
「言っておきます」
清水さんと浩生を並べたら、清水さんが際立っていい人に見えそうだなぁとか思いつつ、エレベータで四階まで上がると、廊下で浩生が待ち構えていた。
「誰かに送ってもらったのか?」
「見てたの? 清水さん。亜結のこと迎えに来てくれたからついでにって」
「へぇ、迎えになんて行くんだな」
行くんだよ、優しい男はさ。
ジトッとした目つきで見ると、浩生が不満を顕にする。
「……なんだよ」
「別に! 浩生は私が酔って帰れなくなるとか考えたこともないんだよね」
「今までに酔いつぶれたことないだろうが」
「ないけどさ!」
でもたまには女の子扱いされたいんだよ!
「簡単に酔いつぶれるような女なら惚れてねぇよ」
ボソリと呟かれて、一気に顔が熱くなってくる。
どうしてそう、変なタイミングで殺し文句を言うのよ。
「どうした。急に酔いが回ったか」
「浩生のせいだよ」
顔が赤くなったのをみて、浩生が私をからかい始める。
一緒に部屋の中に入った瞬間に後ろから抱きしめられた。