謝罪のプライド
*
カーテンの隙間から、朝日が差し込んでくる。
「……ん」
柔らかいシーツの感触、浩生の匂いに包まれている私。
極上の朝だ。
目を開けると、隣で横になる彼はまだ寝ている。朝食を作るために、こそこそとベッドから抜けだそうとすると腰の辺りを掴まれた。
「きゃ」
「まだ眠い」
「浩生は寝てればいいじゃん」
「いいからお前ももうちょっと寝ろ」
背中側からぎゅっと腕に抱きしめられた。
寝起きの彼は密着すると熱いくらい。
「ご飯作れないよ」
「外で食おう。朝定食」
まるで駄々っ子みたいに。
彼が私にこんな姿を見せてくれるようになったのは、付き合い出してから半年以上も経ってからだ。
私が敬語を使わなくなったのも、その辺りだったような気がする。
「勿体無いよ」
「稼いでるだろ。それくらい」
「毎日食べれるほど稼いでないよ」
「……俺が来た時だけでいいよ。いいからもう少し抱かせろ」
こめられた力に、簡単にベッドに引き戻される。彼は自分の体を押し付けるようにして私を抱きしめた。
「あー、柔けぇなぁ」
「朝からはしないからね」
「当たり前だ、馬鹿」
憎まれ口を叩きながら、幸せを感じるこの瞬間。
浩生と恋人同士になって二年。未だに彼を追いかけているという感覚は消えないけど、彼に愛されているという感覚も持てるようにはなった。
このまま、いつかは彼と結婚していつまでも一緒にいたい。
これが、一生続く恋になればいい。