謝罪のプライド
「ひろ……九坂さんはね、凄い人よ?」
「本当ですか。イジワルなんじゃないですかぁ?」
「私に、ヘルプデスク人員としてのあり方を教えてくれたのはあの人なの。怖がらずに学びたいことを伝えれば、それが必要なことかどうかもちゃんと教えてくれるし、もし必要ないとしても知りたければ教えてくれると思う。やる気さえあれば、ちゃんと指導してくれる人よ」
美乃里は私をじっと見ている。
ヤダな、熱弁しすぎたかしら。
私達の関係がバレちゃったりしたらどうしよう。
「ふうん。分かりました。頑張ってみます。……でも、やってることも難しくて正直何を聞いたらいいかもわからないんですよう」
それは素直な感想なのかも。
美乃里は最初からコールセンター勤務だったから、技術職で入社した私よりも研修量は少ないはず。
「他の部署で覚えてきてほしいことは、その部署がどういうことをするかってことなの。それが分かれば、障害対応の時にスムーズに話が進められるでしょう? 今度からは“今何をしているのか”ってのを中心に聞いてみたらいいわ。専門用語で分からないことも聞いたら教えてくれると思う。まあ、できれば自分で調べたほうがいいんだけど。テキスト貸してあげようか?」
「いえ、それはいいです。すごいなぁ新沼さん。勉強家なんですねぇ」
「だって。分からないのは悔しいでしょう」
「うーん、私は平気かもです。分かる人にやってもらえばいいので」