謝罪のプライド
*
「ここ? なんかオシャレね」
レストラン風の外観を見て顔を綻ばせた亜結は、漂う匂いを嗅いで少し変な顔をする。
「でもあんま肉系の匂いしないわね」
「うん。まあ入ろう」
促してオシャレな入り口をくぐると、まずは店員さんの声が耳に入ってくる。
「いらっしゃいませ。……あ、新沼様」
出てきたのは今日も数家くんで、彼は私達を見るとにっこりと笑った。
「二名様ですね。こちらへどうぞ」
彼の後について歩いていると、亜結が横から腰を突く。
「ちょっとー、名前まで覚えられてるくらい常連なの?」
「いや、ちょっとそれは後で話すわ」
どうやら亜結も、彼があの数家くんだとは気づいていないようだ。
言ったらどれだけ驚くんだろう。クールな亜結が驚く姿は親友である私でもあまり見ないから楽しみだ。私は内心でほくそ笑む。
通された席は四人がけのテーブル席だ。中央にテーブルとフラットな状態になるようにコンロが埋め込まれている。すぐにお水とおしぼりが出され、「ただいまお通しをお持ちしますね」と一礼して彼は去っていく。
「鍋の店なんだよ。たまにはいいでしょ」
「鍋かぁ。なんか体に良さそうなイメージ」
「そう。私達もうそんなに若くないんだから、体に良い物食べなきゃダメなのよ」
「何熱弁してるのよ。初音、ババ臭い」
「だって」
自分より若い子を相手にしていると老けるのよ。
本心だったが今ここでそれを言うのはやめた。
久しぶりの親友との食事だ。不愉快な話題はできるだけ避けたい。
「ここ? なんかオシャレね」
レストラン風の外観を見て顔を綻ばせた亜結は、漂う匂いを嗅いで少し変な顔をする。
「でもあんま肉系の匂いしないわね」
「うん。まあ入ろう」
促してオシャレな入り口をくぐると、まずは店員さんの声が耳に入ってくる。
「いらっしゃいませ。……あ、新沼様」
出てきたのは今日も数家くんで、彼は私達を見るとにっこりと笑った。
「二名様ですね。こちらへどうぞ」
彼の後について歩いていると、亜結が横から腰を突く。
「ちょっとー、名前まで覚えられてるくらい常連なの?」
「いや、ちょっとそれは後で話すわ」
どうやら亜結も、彼があの数家くんだとは気づいていないようだ。
言ったらどれだけ驚くんだろう。クールな亜結が驚く姿は親友である私でもあまり見ないから楽しみだ。私は内心でほくそ笑む。
通された席は四人がけのテーブル席だ。中央にテーブルとフラットな状態になるようにコンロが埋め込まれている。すぐにお水とおしぼりが出され、「ただいまお通しをお持ちしますね」と一礼して彼は去っていく。
「鍋の店なんだよ。たまにはいいでしょ」
「鍋かぁ。なんか体に良さそうなイメージ」
「そう。私達もうそんなに若くないんだから、体に良い物食べなきゃダメなのよ」
「何熱弁してるのよ。初音、ババ臭い」
「だって」
自分より若い子を相手にしていると老けるのよ。
本心だったが今ここでそれを言うのはやめた。
久しぶりの親友との食事だ。不愉快な話題はできるだけ避けたい。