謝罪のプライド
「……どうやったらそんな話が出るかわからないよ。私はまだずっと浩生を追いかけている気がする。なんていうの、同格じゃないなっていうか。私の方ばっかり好きみたいで」
「馬鹿ね。二年も続いてるんだから自信持ちなさいよ。彼だって初音のことが好きよ。だからこそ私は、今回の私の話をきっかけにそっちも進展すればいいなぁって思ってる」
「亜結の話?」
「そう。友達が結婚するんだってーって。否が応でも結婚話が展開するじゃん。初音だって結婚したくないわけじゃないんでしょ? すぐするしないは置いておいて、その気で付き合っているかどうかくらい確かめれば?」
ぐつぐつ煮え立った鍋の向こう、亜結は自分が進展したせいか急にノリノリになっている。
つい半年前まで優位に立っていたのは私の方なのに、人生どう転がっていくかわからないものだ。
「まあそうね。うん、きっかけにはなるかも」
そんなうまくいかないとは思うけど。亜結の気持ちが嬉しかった。
「じゃあ、勢い付けるためにも飲もう!」
「そうね。亜結のお祝いも兼ねて。すみませーん!」
店員を呼びつけると、やって来たのは数家くんだ。