謝罪のプライド

「……彼、もしかしてアレかな」

「アレって？」

「初音に気がある？」


ポソリと言った亜結の言葉に目が点になる。


「何言ってんの。再会してまだ二回目だよ？　しかもお客としてだよ。愛想いいのはあたりまえじゃない？」

「でもさ、私のことなんてホントは覚えてなさそうだったよ。七尾って苗字こそ珍しいと思うんだけど」


確かに、新沼よりは珍しいかな。


「大体、高三とかならともかく、高二なんて中途半端なときのクラスメイト覚えてるかなー。もう十年前の話だし？」


言われてみて経っている年月を自覚してビビる。
もう十年も経ってるのか。ああ、老けるはずだよねぇ。


「名前が最初に出てたからでしょ。もう、余計な勘ぐりするのやめてよ。亜結、自分が落ち着きそうな途端、すごいお節介になってるよー」

「だって。私にだって色々悩みはあるのよ。いわゆるマリッジブルーってやつ？　私としてはさ、初音の方でも結婚話が出たら一緒に悩めるのになーって思ってる」

「そんな理由で人を巻き込むのはやめなさい」