謝罪のプライド
6.打ち解けた男
そして私は調子よく飲み過ぎたのだと思う。
翌朝、大鐘をついているかの如くガンガンなる頭をどうしたものかと考えつつ歯を磨く。
朝ごはんもいまいち入らず、手近にあった菓子パンを一個かじって携帯をいじる。
浩生からのメールは無い。夜遅くなるって分かってるんだから、ちゃんと帰ったかーくらい聞いてくれてもいいのに。
会いたくなれば会いに来る。浩生のスタンスはそんな感じだ。
でもそれが私の会いたい時と一緒なわけじゃない。
私のほうがもっとずっと会いたいと思う時間が多いのだろう。
「会いたいなぁ……」
亜結の幸せそうな話も聞いたから余計会いたい。
片思いじゃないのになんでこんなに切なくなっちゃうの。
仕事忙しいって言ってたけど、一日くらい空かないのかしら。
駅までの道を歩きながら、浩生にメールする。
【週末会える?】
本当は週末まで待てないくらいなのだけど、忙しいと言われるとワガママも言えない。
【土曜は休日出勤になりそう】
帰ってきた返事にまたため息だ。
それ以上の返事は、多忙を責めてしまいそうで出せなかった。