謝罪のプライド
忙しいのは浩生だけではなかった。ヘルプデスクも、この週はやたらに電話が鳴り響く。
「それは、技術部の方が一番詳しいと思いますが」
電話の相手は営業の田中さん。お客様先に提案しているものとあちらの要望とのミスマッチに頭を悩ませ相談してきている。
『でも技術部今忙しいらしくてさ。人捕まらないんだよね』
「そうですか。ちなみにお客様の要望ってのはどんなのですか?」
実際こういう相談では私が役に立つことはそれほど無いのだけれど、話していることで営業さんの方も整理がついてきたりする。私達は、むやみやたらにダメ出しをせず情報を整理してあげるのが仕事だ。
「私の意見ですが、多分田中さんが提案しているほどのマシンは必要ないんじゃないかと思いますよ。そのマシンだとグラフィックとかにも強いじゃないですか。でも、今そのお客様の会社のホームページ開いてるんですけど、そんなに過剰装飾じゃないっていうか。むしろ受注システムとかに力入れたいなら、メモリとCPUをあげたほうが良さそうだし」