謝罪のプライド
ざらつく舌の感触が伝わるたびにしびれるような感覚が私を襲って、息も絶え絶えに浩生に手を伸ばす。
抑えきれないほどの衝動を抱きしめることでなんとか鎮めたいと思っているのに、今日の彼は私を眺めるのに徹していて、攻撃をやめてはくれない。
「や、もう。意地悪……」
小さく笑う息が頬にかかった。魅惑的な顔で私の目尻に溜まって涙を舌ですくいとって、不敵に笑う。
「上等だ」
何を言っても何をやっても、浩生の手の中で踊らされているような気が時々する。
私から結婚の話を持ち出すのなんてやっぱり無理だよ。
亜結の話すら、結局は詳しく出来ないままじゃない。
どうしたら浩生に伝えられるんだろう。
今の関係が嫌なわけじゃない。
だけど、その先の約束が欲しいの。
うまく言葉にできなくて、結局は体を重ねることでしか愛情を伝えられない。
浩生ばかりは責められない。私もおんなじなのだから。