謝罪のプライド
「……疲れた」
自然にテーブルに突っ伏してしまう。
疲れるのは自分が意地を張っているからだけど、年数が経てば経つほど自然に甘えることが難しくなっていく。
それは仕事でも恋愛でもだ。
【今駅だから、もうすぐ着くよ】
【中に入ってる。名前言って入ってきて】
亜結のメールにだらけた態度で返事をしていると、お通しとお茶が持ってこられる。
ちょっとだけ体を起こすと、苦笑してる数家くんと目があった。
「……疲れてます?」
「うん。それなりに」
「そういう方へのオススメはこれですよ。生姜がはいっていてさっぱりしてますし」
メニューを広げて見せてくれる。
よし、今日の注文はこれで決定だな。
「ありがと。……優しいねぇ、数家くん」
「はは。新沼さんだからですよ」
「またまた」
軽口を交わしていると、入り口の方から別の店員さんの声がする。
「お連れ様かもしれないですね」
数家くんはそういうと厨房の方へ下がっていく。その間に別の店員さんが亜結たちを連れてきてくれた。