大切なモノを守るために

不安で怖くて
耐えられなくて

一度だけ行ったことのある
たつみの家を目指して
私は走っていった。

たつみの車もいつも通りあって
たつみの姿が窓越しに見えた。

今すぐ駆け込みたかったのに
私はなぜかそれをしなかった。

代わりに外から
ずっと叫んでいた。

たつみ。

たつみ。

私ここにいるよ。

捨てるなら捨ててもいいけど
何もなく終わらせるのはやめてよ。

ねぇたつみ。

気づいてよ。
< 12 / 23 >

この作品をシェア

pagetop