444
「たとえ信じてもらえなくても、言わなくて後で後悔するのは、もっともっとつらいよ」
そう言って私を見て微笑む。

「なんか・・・」
私は目をパチクリして言った。
「正輝さんって、人の考えていることが分かるみたいで不思議」


「正輝、でいいよ」

「へ?」

「桜の考えていることは、不思議と分かるんだ」

「さ、さく・・・」

顔が一瞬で燃え上がる。

なに、この展開!?

胸の音が急に耳元で聞こえているかのよう。

ごまかすように、
「あ、あはは」
と笑ってみるが、なにに笑っているのかすら分からない。
< 102 / 265 >

この作品をシェア

pagetop