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「あ・・・うん。ごめん、ごめんね」
そう言って知佳はまた、うつむく。

謝る知佳を見ていると、なんだか苦しくなった。

「富田さん・・・」
なにか声をかけようとした私に、知佳は、
「私も香典返しを用意する係だった。・・・ありがとう」
と無理やり作った笑みを見せると、足早に去って行った。

・・・せっかく話しかけてくれたのに、突き放したような罪悪感。

「なにやってんだろ・・・私」

自分が冷たくされてつらかったはずなのに、同じことしちゃってるなんて。


なんだか急に、自分がイヤな人間に思えた。
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