444
母親が悲鳴をあげて転んだ次の瞬間、友利子はふたりの男に押さえつけられていた。

「なによ、離してよ!」

男たちは、友利子を強引に立たせると、出口に向かって連れてゆく。

母親が声を上げて泣き出した。


・・・やっぱり、私服警官だったんだ。


私はその光景から目を離せずに見つめる。

友利子がわめきながら連れ去られてゆく。

「やめろ、離せ!つかまえるならあの女をつかまえなさいよ!人殺しの母親なんだから!人殺し!ああ、守、守~!」

ホールの入り口近くまで連れてこられた友利子が、抵抗しながら叫ぶ。

「みなさん、聞いてちょうだい!さっき、外で刑事さんが言ってたわよ。稲垣亜矢音も昨日の夜死んだんですって!444円って書かれたレシートを握りしめてたそうよ。守の呪いが効いてるの。あと少しで守が私に会いに来る。会える、会えるのよ!」

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