桜雨、ふわり。
桜雨、ふわり。
森崎くんがいなくなった。
それからというもの、心の中はぽっかりと穴があいたような喪失感が溢れてて。
それでも、月日は慌ただしく、そしてめまぐるしく過ぎ去った。
―――そして、3月。
「あたし達も、とうとう卒業だねー……」
「うん……」
あっこが、卒業証書を手にして写真をとったりしているクラスメイトを眺めながらしみじみと言った。
「なんかさ、信じらんないよね。この制服着ないあたし達って」
「そうだよね」
「でもよかったね!花奈も春から大学生だし、あたしも同じ大学だし」
「うんッ、またよろしくね」
そうだ。
春からは大学生。
新しい生活が始まるんだ。
校舎を後にして、あたしはあっこと並んで3年間通った高校の門を一歩踏み出した。
ふと、そこに真っ白なガードレールが目に飛び込んだ。
そこは……。