桜の花びらに埋もれたスケッチブックを見つけたあの日、あたしは彼と出会った。
接点なんて何もなかったのに、その日からはじまった“かくれんぼ”の中で、少しずつ、彼への想いが募っていく。
「……探されても困るし、探されなくても困る」
こんなに一緒にいなきゃ、気がつかなかった。
絵をがんばる彼からは、近付くと油絵の匂いがすること。
彼の手は大きくて、少しだけヒンヤリしていること。
ずっと、忘れられずにいたから。
だからあたしは、迷わずに向かったんだ。
彼とはじめて出会った、桜の雨が降る、あの場所へ。
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やさしい四季の風景の中で紡がれる、不器用なふたりのお話。
一度は離れ離れになったふたりに、とてもドラマチックな展開が待っています。
ぜひ、ご一読ください*