白の離宮
Side Shot アクア王妃

18年前,待ちに待ったお世継ぎが生まれた。ルナ王女とソフィア王女。双子だった。でも,わたくしが嫁いだプレアデス王家の古くからのしきたりでは,双子のどちらかを神の生け贄として殺されなければならなかった。双子は国に災いをもたらすものだからと。
だから,わたくしは陛下に泣いて懇願した。かわいそうだからと。子どもたちのどちらかが死ななければならないのならば,わたくしも死ぬと。
結局,姉のルナ王女を王宮から離れた『白の離宮』という簡素な美しい離宮に住まわせることにした。『隠された存在』として。王家の生まれだというのに,王家の姫として扱われることはないのだ。

16年振りに見た我が娘は,美しく成長していた。ただ,辛い生い立ちからどこか冷ややかな雰囲気を纏っていただけで…。
そして,彼女の耳を見て少しだけ心が軽くなった気がした。だって彼女はわたくしが贈った耳飾りを身に付けていたから…。
でも,後悔が完全に消えたわけではなかった。
しばらくして,妹姫のソフィア王女とユリジュス将軍との縁談話が持ち出された。その時のルナ王女の顔は今でも覚えている。
愕然としながらも,自分の本心を殺しながらソフィアの話に耳を傾けていて…。

見ていられなかった。

母として彼女の願いを遂げさせてやりたかった。

王妃として陛下に申し立てをすればよかった。

今からでもいい。母娘の名乗りをあげてルナを王宮に呼び寄せたい。たとえ,王家のしきたりに背いたとしても。
わたくしはルナを守り通します。

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