白の離宮
「国王陛下。アクア王妃様がお見えでございます。」

プレアデス国王の女官長・アルラウネが王妃のおとないを告げる。入室を許された王妃は挨拶もそこそこに,エレオノーラからの書状の件を話した。

「ルナ王女が…そんなことを…。そして,剣術の達人と…。士官学校に入れなくとも,武官としては申し分あるまい。王室警護の任務に就任させたいとは思うが…ソフィア王女の護衛兼話し相手としてこの王宮に呼び寄せよう」

「少し心配ではありますが…,陛下のご意向とあれば従います。でも…ソフィアになんと説明しましょう?」

国王の意向に従うと言っても,やはり心配なのだ。下手をすれば,コスモ王国の秘事でもある双子の1人だと露見しかねない。そして,万が一露見してしまったら,ルナの立場や命が危うくなるのだ。危険だが,賭けるしかない。ルナ王女の運に…。

「ソフィアには,同い年の女性軍人だと言えばよい。ソフィアにはまだ,ルナの存在を知られてはいないからな。では,明日にでもユリジュス将軍に任命証書を準備させよう」

こうして,ルナ王女は軍人としての人生を歩もうと初めの1歩を踏み出したのだった。
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