僕のonly princess
「俺じゃダメなのかよ」
「……え…勇也?」
私の顔をじっと見つめ返す勇也が小さく発した言葉に、私は目を丸くして訊き返すことしかできなかった。
だって、勇也の言葉がまるで告白のように聞こえたから。
「お前は全然気付いてねぇだろうけど、俺はお前のことがずっと好きなんだよ。だから嫌がらせされて傷ついてるお前を見てたくなかった。今もあの男のことでうじうじ悩むお前を見てたくない。俺ならお前を傷つけたりしない。守ってやる。だから俺に……」
「ありがとう、勇也。でも……ごめんね」
いつになくはっきりと口数多く話す勇也の思わぬ告白に、私は純粋に嬉しいと感じた。
でも、だからって私は頷くことはできないよ。
勇也がそんな風に私のことを思っていてくれたなんて、とっても嬉しいけど、私が一緒にいたいのはたった一人だけだから。
「私、まだ薫くんのことが好きなの。薫くんに新しい彼女ができてもそんなに簡単に諦められない。勇也の気持ちは本当にすごく嬉しいよ。勇也は今までは何度も私を助けてくれたし、私も勇也のことは兄弟みたいに大好き。でもね……私が女として好きな男(ひと)は薫くんだけだから」
勇也の気持ちに応えることはできないと、真っ直ぐに勇也の目を見て告げた私に勇也は一瞬、傷ついたような悲しい顔をした。