僕のonly princess
リビングで少しだけ理子ちゃんと遊んでから、自分の部屋で課題のプリントを広げてみたけど、一向にペンは進まない。
零れるのは溜息ばっかり。
何だか、すごく疲れた。
結花ちゃんに俺を諦めてもらうために付き合い始めた理穂子ちゃんとの時間は、思っていたよりもずっと苦痛なものだった。
自分の意思に反して、いたくもない新しい彼女との時間。
理穂子ちゃんと付き合うようになってまだ2週間だけど、こんなに長く重く感じる2週間は初めてだ。
理穂子ちゃんは一般的に美人な部類だと思うし、本人はそれを自覚している。
自分に自信があるからなのか、かなり我儘でプライドが高い子だった。
周りに見せつけるように俺と接して、得意げにその視線を楽しんでいる。
一緒にいる俺はかなり疲れる。
でもそれは俺が選んだこと。
結花ちゃんが俺を忘れてくれさえすればいい。
理子穂ちゃんみたいな子と付き合う俺になんて呆れてしまえばいい。
理穂子ちゃんの行動や態度はかなりあからさまだから、きっとすぐに結花ちゃんの耳にも届くはず。
いや、二人は同じ学校だし、もう知っているかもしれない。
そう思うと、なぜか胸がチクリと痛んだ。
浮気ってわけでもないのに俺を襲うのは罪悪感。
彼女ができたと告げた時の結花ちゃんの悲しそうに歪んだ顔が、溜息とともに閉じた瞼の裏に浮かんだ。