僕のonly princess

「それにしても、その結花ちゃんに会ってみたいわ。薫の初恋の女の子ですものね」


「……初恋？」


嬉しそうな顔をして、変なことを言い出した佐知に俺は間抜けな顔をして訊き返した。


初恋って、俺の初恋は………


「あら、そうでしょ？今までのは全部偽物の恋愛だったんだし、私のことだって単なる成長する姉への弟の独占欲でしょ」


「………」


あっけらかんと言い放つ佐知に俺は言葉を失くした。


俺のこの数年の苦しい想いを弟の独占欲と称した佐知に呆れてしまう。
そんな簡単なものだったのか？と思うけど、佐知にそう言われてしまえば、そうかもしれないと思う俺もいる。


佐知に対しての感情が恋心だったのか、そうでないのかは別として。
確かに結花ちゃんを想う俺の気持ちは、今まで誰にも感じたことのない感情だ。
佐知へさえ思ったことのない感情なのは確かだと、俺は不思議と佐知の言葉に納得していた。