僕のonly princess
理穂子ちゃんは遠慮気味にでも反論した結花ちゃんが気に入らないのか、イライラした声で更に辛辣な言葉を続けた。
「あなたって本当に図太いのね。私達があんなにあなたと薫が不釣り合いだって教えてあげてたのにそれでも図々しく薫に纏わりついて。薫に振られてもまだ彼の周りをうろちょろするなんて、どんな神経してるの?信じられないわ」
……信じられないのは、お前の方だろう。
俺は理穂子ちゃんの今の言葉ですべてを理解した。
結花ちゃんに嫌がらせをしていたのは理穂子ちゃんだ。
俺と付き合っていた結花ちゃんが妬ましくて、あることないこと言っていたんだろう。
俺と結花ちゃんが不釣り合い?
結花ちゃんが図々しい?
どっちが図々しいんだよ。
どんな神経してるかって、それはお前の方だろう。
俺は今まで感じたことがないくらいの怒りを覚えて、グッと手を握り締めた。
「本当に目障りなの。消えて頂戴」
「キャッ!」
理穂子ちゃんの冷たい声と結花ちゃんの叫び声に俺は思わず身を隠していた銀杏の木の影から飛び出した。