僕のonly princess
その瞬間、俺の目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。
そこには結花ちゃんと理穂子ちゃんと他に数人の女の子達がいて。
その中の一人が結花ちゃんに向かって鉄パイプのようなものを振り上げていた。
「やめろっ!!」
俺は自分でも驚くほどのスピードで結花ちゃんの前に走っていって、結花ちゃんを庇うように彼女を抱き締めた。
「……っぅ」
結花ちゃんを抱き締めた瞬間、左肩に痛みが走った。
結花ちゃんに向かって振り上げられていた鉄パイプが俺の左肩に当たったんだ。
「………」
「……ぇ」
理穂子ちゃんも他の子達もみんな突然のことに驚いて固まっている。
結花ちゃんは俺の腕の中で小さく消えるような驚きの声を上げた。
「か、薫くん!?やっ、大丈夫?」
熱く感じるほどの左肩の痛みに深く眉を寄せる俺の顔を、俺の腕の中から見上げた結花ちゃんは慌てて叫ぶように俺の名前を呼んだ。
俺はそんな心配そうに目に涙を溜める結花ちゃんを安心させたくて、腕の中の彼女に微笑みかけた。
痛みのせいでちょっと引き攣った俺の笑顔に結花ちゃんは余計に心配そうに顔を歪める。
そんな俺達の後ろから、呆然とした理穂子ちゃんの声が聞こえた。
「……薫、ど、どうしてこんなところに?」
俺は結花ちゃんを抱き締めたまま、顔だけ後ろ振り返って理穂子ちゃん達を睨むように見た。
理穂子ちゃんも他の子達も血の気の引いた顔をして、ただ呆然と俺達を見ていた。