僕のonly princess
「何をやろうとしてた?そんなもので人を殴ったらどうなるかなんて、考えなくてもわかるよな?一歩間違えば当たり所が悪くて死んじゃうかもしれないことだって、ちゃんとわかっててやったのか?」
いつもの俺の口調とはまったく違うキツイ怒りの篭った言葉と声に、理穂子ちゃん達は青い顔をしてビクッと肩を震わせた。
今更、そんな顔をしても遅いんだ。
「君が結花ちゃんに言っていたことは全部聞いた。結花ちゃんに色々嫌がらせしてたのは君だったんだね。有り得ないくらい勝手なことを並べ立ててけど、図々しいのも信じられないのも結花ちゃんじゃなくて、理穂子ちゃん、君の方だ」
「か、薫……違うのっ、これはそのっ」
慌てて言い訳をしようとする理穂子ちゃんに俺は睨みつける視線をより強くして、更に強い口調で言葉を被せた。
「言い訳なんて聞かないし、必要ないよ。もう二度と結花ちゃんに変な言いがかりも手出しもするな!もし何かしたら、このことは学校でも警察でも出るところに出るから。これは立派な暴行事件になるんだよ。それくらいわかっててやったんだよね?」
「……そ、それはやめて!そんなことしたら……」
青い顔をする理穂子ちゃんの頭には自分の保身のことしかないらしい。
出るところに出る、暴行事件だと言った俺の言葉に、悲鳴のような声を上げた。
「だったら、もう今後一切、結花ちゃんに係わるな!」
「……わかったわ」
俺の一際大きく発した声にビクッと肩を震わせた理穂子ちゃんは、小さな声で答えた。