僕のonly princess
「結……」
「薫くん」
でも同じタイミングで結花ちゃんに小さく名前を呼ばれて、俺は俯く結花ちゃんの顔を覗き込むように見つめた。
その顔は悲痛に歪んでいた。
「薫くん……ごめんなさい」
小さな小さな声を発した結花ちゃんは綺麗な涙を流して肩を震わせている。
俺はその細い肩を抱き寄せて、宥めるようにそっと撫でた。
「結花ちゃんが謝ることなんてないよ。謝るのは俺の方だ」
俺の言葉に結花ちゃんは何度も何度も首を左右に振る。
そして、震え手で俺の左肩にそっと触れた。
「ぅっ……」
触れるか触れないかの微かな接触にも痛みが走って、俺は思わず小さく声を上げた。
「ごめんなさいっ」
結花ちゃんは俺の声に慌てて手を引っ込めて、大きな目にいっぱい涙を溜めて俺を真っ直ぐに見た。
「……本当にごめんなさい。迷惑かけて、こんな酷い怪我までさせて……本当にごめんなさい」
悲痛に顔を歪めて謝る結花ちゃんに俺はできるだけ優しく笑って、首を振る。
「こんなの大したことないよ。それより……」
「そんなことない!薫くんが言ってたみたいに一歩間違えば薫くんだってどうなってたかわからない。私のせいで……薫くんを危険な目にあわせて……ごめんなさいっ」
結花ちゃんは過剰なほど、俺の怪我に罪悪感を持っているようだった。
どうしてここまで結花ちゃんが自分を責めるのかわからないけど、結花ちゃんのせいなんかじゃないと、ちゃんと伝えて安心させたくて俺はもう一度、結花ちゃんの肩に手を伸ばした。