僕のonly princess
結花はしばらくして、流していた涙を止めると、その場の状況に急に慌て出した。
道の真ん中で抱き締め合ってるこの状況が恥ずかしくて仕方ないのか、真っ赤にした顔を俯かせて落ち着かなくなった。
そんな結花が可愛くて、愛しくて。
俺の腕の中に結花がいてくれることが何より幸せで。
俺は恥ずかしがる結花を離せない。
でも結花とちゃんと話がしたいから、俺は恥ずかしがる結花を周りの好奇な視線から遮るようにしながら、二人で何度も訪れた駅前のカフェに入った。
いつものように結花の紅茶と俺のコーヒーと、そして二人で半分こするケーキを注文した。
今日はチーズケーキ。もちろん結花のリクエスト。
注文を聞き終えた店員さんがテーブルから離れていくと、結花はまだ恥ずかしさが消えないのか、ほんのり頬を赤くしたまま、俯き気味に自分の手元を見ている。
そんな姿ももちろん可愛いけれど。
やっぱり俺の方を見てほしい。
もうずっと、結花の可愛くて優しい笑顔を見ていない。
それは俺のせいなんだけど、やっと結花と本当の意味で恋人になれたのだから俺にその可愛い顔をちゃんと見せてほしい。
「結花」
俯く結花の名前を小さく呼ぶと、結花はピクッと肩を震わせてゆっくりと顔を上げた。
窺うように俺を見上げる結花は無自覚に上目遣いになる。
恥ずかしいからか少し眉を下げて困った顔をする結花に、ドキッと鼓動が大きく跳ねた。