僕のonly princess
今までも結花のことは何度も可愛いと思っていたけど、自分の気持ちを認めた今、感じる感情はそれまでの比にならないほど大きく心を揺さぶる。
“好き”だと思うだけで、こんなにも違うものなのかと、少し動揺した。
ホント、今までの俺って何だったんだろう。
今まで間違った偽の恋愛しかしてこなかった俺には、初めて感じるこの感覚。
……佐知と吾郎の言う通り、本気で“初恋”なのかもな。
そんなことを考えて、一人で赤くなる。
「……薫くん?」
俺から呼んでおいて、勝手に一人で考え込んで顔を赤くしている怪しい俺に、結花が心配そうな顔をして首を傾げている。
恥ずかし過ぎるだろ、俺。
余計に顔に熱が集まるのを感じながら、俺は誤魔化すように二、三度、咳払いをした。
ちょうどその時、店員さんが紅茶とコーヒーとチーズケーキを運んできて、俺達の前に並べてくれた。
俺はまだ頬に感じる熱に焦りながら、コーヒーに口を付けた。
「熱っ」
煎れたてのコーヒーの熱さをすっかり忘れていた俺は、一口飲んだところで、思わず小さく声を上げた。
「だ、大丈夫?」
慌ててカップを置いた俺に結花がさっと、冷たい水の入ったコップを差し出してくれた。
それを受け取って、一口飲んで口の中の熱を冷ます。
……ホント、どんだけテンパってんの、俺。
いつもの自分じゃないこの調子に情けなくて溜息が出た。