僕のonly princess
「イヤッ!!」
私は大きな声を上げて、目を開けた。
そこに広がるのは学校の中庭の風景ではなく、見慣れた白い天井。
………夢を見ていたんだ。
乱れた呼吸を整えるように何度か大きく息を吐く。
今見ていた夢のせいで頭に重い痛みが走る。
「……はぁぁ…」
もう一つ、大きく息を吐き出して、私は両手で顔を覆った。
数日前、私のせいで起こった出来事。
それが私の心を暗く、重い影で浸食させている。
「また、大切な人を危険な目に合わせちゃった……」
薫くんの痛みに歪む顔を閉じた瞼の裏に鮮明に思い出しながら、私の小さな呟きは誰もいない部屋に消えていった。
私は痛む胸を抱えて、もう一つ、浮かんでくる悲しい思い出に歪む顔を枕に埋めた。
江本薫くん……今、私の中で誰よりも大切な人。
そんな大切な人を傷つけてしまった現実が、私の心に潜む後悔を思い出させる。