僕のonly princess
さっきの固まった二人の顔を思い出しながら、浮かんでくる自嘲気味な笑みに溜息を吐いて、俺はゆいかちゃんとの待ち合わせ場所へ向かった。
ゆいかちゃんとの待ち合わせは昨日と同じ場所。
昨日別れた駅の売店の前で待ち合わせだ。
その駅はゆいかちゃんの通う清稜女学院の最寄駅で、俺の学校と自宅のちょうど中間にある。
目的の駅で電車を降りて改札を出ると、売店の前に小さな人影を見つけた。
先に待っていたゆいかちゃんは落ち着かないのか、そわそわと周りに視線を向けている。
ホント、小動物っぽい。
ウサギとかそんな感じ。
ゆいかちゃんの様子に自然と笑顔になりながら、俺は彼女の待つ売店へゆっくりと近づいた。
「ゆいかちゃん、待たせてごめんね」
ゆいかちゃんから2、3歩離れたところで立ち止まって声をかけると、ゆいかちゃんはパッと勢いよく顔を上げた。
そしてなぜか驚いたような顔をして、黒目がちな目を大きくさせて俺の顔を見た。
「どうしたの?」
首を傾げてそう訊ねると、あたふたと慌て出して。
白い頬は昨日みたいにあっという間に真っ赤に染まった。