僕のonly princess
「ご、ごめんなさい。江本くんが本当に来てくれるかどうか少し不安で…昨日のことは夢だったんじゃないかな、とか思ったりして…」
「昨日のことも今日の約束のことも夢なんかじゃないよ」
恥ずかしそうに足元を見つめて、ポツポツと話すゆいかちゃんの頭をポンポンと撫でながら、俺は彼女の顔を覗き込んで笑いかけた。
思わず無意識でゆいかちゃんへ伸びた手。
普段は体の関係を持つ時以外、俺から女の子に触れることはなくて。
手を繋いで歩くことも、まして、こんな風に頭を撫でることもない。
だけど顔を真っ赤にさせて恥ずかしそうに俯くゆいかちゃんには、なぜか触れてみたいと思った。
軽く撫でたゆいかちゃんのまっすぐに伸びた黒髪は、滑らかで指先に心地いい。
いきなり頭を撫でた俺に、耳まで真っ赤にするゆいかちゃんの横顔が可愛くて、すぐに手を離すのが勿体ないと思った。
「…とりあえず、お茶でもしに行こうか?」
自分のそんな感情がよくわからなくて、俺は何気ない表情を保ちながら、ゆいかちゃんの頭から手を離した。
俺の誘いの言葉にゆいかちゃんは「はい」と照れた笑顔で頷いた。