僕のonly princess
レジの前で私達のやり取りを見ていたお姉さんが、クスッと笑ったのに気付いて強引過ぎた自分を少しだけ後悔した。
二人で買うことへの後悔はないけれど、こんなやり取りをこの場でしてしまって薫くんに恥ずかしい思いをさせたかもしれない。
私は顔を伏せたまま、小さな声で「ありがとうございます」と言いながらお姉さんからストラップを受け取った。
「……ごめんね、薫くん」
会計を終えて、レジから離れた私は小さく謝りながら薫くんの顔を見上げた。
「え、何が?」
薫くんは意味がわかっていないような顔でキョトンとしながら首を傾げて私を見る。
そんな薫くんに私は眉を下げながらもう一度、謝罪の言葉を口にした。
「ごめんね。あんなところで強引にお金を出して……恥ずかしかったよね」
「ああ、なんだ。そんなことか。別に気にしてないよ。って言うか、嬉しかったよ。結花が俺の分を買ってくれるって言って。レジのお姉さんも俺達のやり取りを微笑ましそうに見てただろ?」
「え……そうだったの?迷惑だって思ってない?」
「思ってないよ。結花が俺の分を自分で買いたいって言ってくれてすごく嬉しかったよ。お互いにプレゼントし合って、余計にお揃いの意味が大きくなったよね」
「……うん!」
薫くんが私の頭を撫でながら嬉しそうに笑ってくれるから、私もとっても嬉しくなって笑顔を返すことができた。
お揃いの意味が大きくなったと言ってくれる薫くんのことが、とってもとっても大好きだと思った。
私の気持ちをちゃんとわかってくれる薫くんへの想いは昨日よりも今日。さっきよりも今。
ずっとずっとその大きさも重さも増していて、留まることを知らないようだった。