僕のonly princess
「お前、まだアイツに自分のこと何も話してないのかよ?」
「……話さなきゃって思うけど、勇気が出ない」
「勇気ってなんだよ。勇気がなきゃ言えないほどのことか?アイツは……江本はお前の事情を知って何か変わるようなそんな薄情なヤツなのか?」
「薫くんは薄情なんかじゃないよ!」
勇也の言い方が薫くんを貶しているように聞こえて、私は思わず勇也を睨むように見返しながら言い返した。
無表情の勇也はまた一つ、溜息を吐いて呆れたような顔をした。
「だったらあんな変な態度取るんじゃねぇよ。江本が薄情なヤツじゃないなら、お前のことをちゃんと受け止められるヤツなんだったら、ちゃんと話せよ。こんな風じゃ、アイツに誤解されてまた振られるぞ」
「……振られちゃう?」
「そうだろ?せっかく心配して送ってくって言ってる彼氏から逃げるような真似するヤツ、俺なら願い下げだな」
「そこまで言うこと……」
「お前、自分のことばっかり考えてないで、江本の気持ちも考えてやれよ。江本のこと薄情じゃないって言い切るくせに、結局信じられてないのはお前じゃねぇのか?」
「………」
勇也の遠慮のない言葉に私は何も言い返すことができなかった。
薫くんにあんな悲しそうな顔をさせたのは私。
私を想って心配してくれる薫くんを拒否するような態度を取って、薫くんを傷つけてしまったんだ。